AIブームの「ツルハシとシャベル」、その多くは日本が握っている。問われているのは、その次の一手だ。
博報堂DYホールディングスと共同制作した「Hard Techレポート 2026」を公開します。
日本はすでに半導体製造に於いていくつかの領域で市場を独占しており、その例として有機基板用絶縁フィルム市場のほぼ100%、そして世界の高品質フォトレジストの約95%を供給しています。これらは日本が半導体・AIインフラ全体で握る代表的な「ツルハシとシャベル」のポジションを有している一例であり、派手ではないが上工程の要所を抑えており、また下工程の大部分にも重要な役割、インパクトを与える領域となります。
スタートアップと日本企業のいずれにとっても問われているのは、これらのポジションのうち先端パッケージング、フォトニクス、データセンター冷却など、今まさに変革が見込まれるセグメントにおいて事業機会を捉えて主要プレーヤーへと転換できるかという点です。
その問いに答えるべく制作したのが本年、戦略的パートナーである博報堂DYホールディングスのインダストリアル・アーキテクチャ・オフィスと共同制作した「Hard Techレポート 2026」です。本レポートは、2025年後半に両社が結んだパートナーシップのもとで最初の共同研究であり、Pangaea Venturesの26年にわたるハードテック投資の知見と、日本企業が実際に新規事業をどのように評価・導入・構築していくのかについての、博報堂DYホールディングスの「生活者発想」に根ざしたものに深い理解を組み合わせたものです。
新規事業機会の比較と見極め
本レポートは、半導体・AIインフラスタックを6つのセクター、26のセグメントへ分解し整理しています。各セグメントには、私たちが「Transformation Potential(変革ポテンシャル)」と呼ぶ評価を付与しています。これは、Magnitude(規模:性能の飛躍幅)、Value Density(価値密度:単位あたりに取り込める価値)、Irreversibility(不可逆性:導入後の継続性)の3つの要素から構成されます。
レポート内では、製造用消耗品からフォトニックコンピューティングまでスタックの異なる領域をVCから見た投資魅力度という同じ基準で各領域を比較できる単一のフレームワークを使用しています。
主な見解は以下の通りです。
変革性という観点で最も集中しているセグメントは先端パッケージングとフォトニクス・ネットワーキングであり、なかでもCo-Packaged Optics (CPO) は、2026年にTSMCのCOUPEプラットフォームが量産段階へ移行もあり、注目度が高い領域
データセンターの電力・冷却はAIコンピューティングのスケールアップにおける制約要因となっており、垂直電力供給(Vertical Power Delivery)は「変革的」と評価
画像センサーや触覚センシングを含むフィジカルAIは、日本のロボティクスに関する知見の蓄積と、高齢化が進む労働力の需要に直結しており、親和性が高いと評価
各セグメントには、市場規模やCAGR予測、評価の根拠、そして日本企業が参入・協業・買収を検討すべき具体的な領域についての見解が含まれています。
市場の全体図
本レポートは戦略的投資、協業方法を構築する際に実務的に使用できるツールとして作成したものであり、議論のきっかけや楔となることを前提としています。ここから何らかの議論や論争を呼び、そして上手くいけば大企業とスタートアップの戦略的な協業のきっかけとなることを願っています。
「Hard Techレポート 2026」は無料で、日本語と英語でご利用いただけます。
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