「待つな」Dioseve CEO 岸田 和真氏が日本の起業家に伝えたいこと


パネルに先立ち、博報堂DYホールディングスの宮井 弘之氏と、Pangaeaパートナーの Andrew Haughian 氏が開会の挨拶を行った。

ハードテックへの情熱を共有する二人による、示唆に富んだバイリンガルの対話となった。

当日参加できなかった方のために、岸田氏の発言から特に印象に残ったポイントを紹介したい。

C型肝炎の診断が、製薬に対する考え方を形づくった

岸田氏は高校時代にC型肝炎と診断された。当時の標準治療は治癒率が半分に満たず、副作用も重いものだった。数年後、新しい薬によって副作用もなく完全に治癒する。医薬品が患者の人生に対して実際に何をもたらし得るのかを理解したのは、その瞬間だったと岸田氏は語る。その理解が、Dioseve創業へとつながっている。

技術的な相性ではなく、ミッションで共同創業者と出会った

ベンチャーキャピタル経由の紹介で、岸田氏は浜崎博士と出会った。二人を結びつけたのは、科学的な専門性の共通点ではなく、共有するミッションだった。Dioseveを支えるパートナーシップは、そこから育っていった。

先に科学があり、規制上の優位性は後から見えてきた

Dioseveの中核技術であるDIOS-101は、幹細胞から支持細胞をつくり出し、体外受精(IVF)に用いる前に患者の卵子を体外で成熟させる技術だ。幹細胞が患者の体内に入ることはなく、すべての工程はラボの中で完結する。岸田氏はまず科学を築き上げ、その規制上の意味合い、つまり患者の体内ではなく体外で卵子を扱うことが承認プロセスを変えるという点は、後から理解したという。Dioseveは現在、FDAとの事前面談(プレミーティング)の準備を進めるとともに、中国でも並行して協議を行っており、12月にヒト臨床試験の開始を見込んでいる。

早い段階からグローバルへ

日本のハードテック起業家への岸田氏のアドバイスは、「待つな」。ハードテックは、消費者向け製品のような文化的翻訳を必要としない。だからこそ、まず国内で始めて後から海外に広げるのではなく、初日からグローバル規模を前提に事業をつくるべきだという。

PoCは「成功したか」ではなく「何を築いたか」で評価する

会場の事業会社に向けたメッセージ。スタートアップとのPoC(概念実証)は、合否を判定するテストではなく、長期的な知的財産の蓄積として捉えてほしい。短期的な結果ひとつで、その協業を続ける価値があるかどうかを判断することはできない。

イベントの成功にご協力いただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。Kandai Yamashita、Hakuhodo Open Incubation、HAKUHODO KEY3、Hiroyuki MIYAI, Ph.D.、Ryo Kikuchi、Makiko Kato、Takumi Sano、Sou Miyake, PhD の皆さま、ありがとうございました。ご来場いただいた皆さま、そして Andrew と Janelle が登壇した TECHNIUM Global Conference のパネルにご参加いただいた皆さまにも、あらためて感謝申し上げます。

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